「エイリアン・コヴェナント」感想(多少バレ有り)

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「エイリアン」のシリーズは全て観てきましたが、今回の「コヴェナント」はなかなか面白かったです。

1作目には及びませんが、前作「プロメテウス」よりは断然、こちらの方がデキがいいと思いました。

だけど最近では洋画のこんな大作が、公開1ヶ月も経たずに1日1回の上映で、しかもガラガラなんですね・・・。

「ブレードランナー(1982)」へのオマージュ?

どちらもリドリースコット監督なので、オマージュというのはアレなんですが、ブレードランナーは監督にとって製作当時は苦い経験をした作品でしかありませんでした。

主演のハリソン・フォードもつい最近になって「あの映画と和解する事にした」と言うまで、ずっと「ブレードランナー」については話題を振られる事すら嫌がり、頑なに口を閉ざしていました。

かいつまんで言うと直近の「エイリアン(1作目)」で成功したけれど、イギリス人である監督が、ハリウッドでスタッフ、キャスト(というかハリソン・フォード)と仕事の進め方の違いで衝突しまくり、予算もオーバーしまくりながら作ったのが「ブレードランナー」で、しかも公開当時は全く客が入らなかった(一般受けしなかった)んですね。

商業的にも失敗した事から監督にとっては恐らく汚点でしかなかったこの作品ですが、ちょうどビデオソフト(カセットテープ)の黎明期でもあり、熱心なオタクたちの評価が盛り上がり続けていわゆる「カルト的人気」にまで登りつめました。

今では「ブレードランナー」と言えばSF映画の傑作の1つと言われており、私が最も好きな映画の1本です。

リドリースコット監督の作品には傑作が何本もありますが、1番は「ブレードランナー」だと言う人は多いんじゃないでしょうか。

「エイリアン・コヴェナント」では、比喩ではなく何十年もかけて正当な評価を勝ち得た「ブレードランナー」と共通したシーンがいくつか挿入されています。

まず、オープニングの「瞳のアップ(魂の存在を表現している?)」がそうですし、事あるごとにアンドロイドがロイ・バッティのように「バイロンの詩(本当はシェリーの詩)」を暗誦します。

また、序盤で主人公のダニエルが夫との思い出の「釘」を紐に結んで首にかけます。

これも一目で「ブレードランナー」のクライマックスでレプリカントのロイ・バッティが自分の掌に突き刺す釘を彷彿とさせました。

この釘は案の定、終盤のアンドロイドとの戦いで武器として使われるのですが、その際にアンドロイドが「いいぞ、その意気だ!」とダニエルのガッツを称えるセリフを吐くのですが、これはまさにロイ・バッティのセリフそのものです。

もう1シーン、新旧アンドロイド(同型)が対峙する場面で「私ほどお前を愛している者はない」と言ってキスする(両方男性型)んですが、これもあのシーンと被ります。

「ブレードランナー」ファンにとっては感動ものじゃないでしょうか。

小説・漫画・映画といった作家性の高いジャンルでは、いわゆる巨匠の作品は晩年になると別々の作品だったものが世界や設定を共有しだす、という事が良くありますが、リドリー・スコットも「ブレードランナー」と「エイリアン」のシリーズではそうなりつつあるのかも知れません。

と言うのも今回の「エイリアン・コヴェナント」で明らかになった、いわゆる1作目の「エイリアン」がどうして生まれたのか。

これが意外な答えというか、テーマでした。

ネタバレになってしまいますが、アンドロイドが「お前は何を信じているんだ?」と聞かれて「創造(Creation)だ」と答えるんですね。

「プロメテウス」に出てきた真っ白マッチョメンこと「エンジニア」達もそうなんですが「自分たちを創った神と同じように、自分に似せた新たな種を創る」事が究極の目的になってしまっている。

これは人が人を超える種であるレプリカントを創り、レプリカントは自分の「源」を探し続けるという「ブレードランナー」の設定と根底が同じように思います。

H・R・ギーガーの世界から始まった「エイリアン」の原点~真に不気味なのは・・・

今作「コヴェナント」では、ギーガーの描いた「モンスターというよりは、猟奇趣味、変態性」がシリーズ中最も色濃く出ているように思いました。

ギーガーの絵なくして1作目の「エイリアン」もあり得ませんでしたが、P・K・ディックが言ったところの「モンスターは所詮モンスターだったし」ではなく、人体を解剖、改造したいという変態欲求・異常性を人類の叡智の結晶であるアンドロイドが淡々と行っているという点が意味深でした。

「ザ セル(The Cell)」という映画(最近のS・キング原作じゃないほう)で異常殺人鬼が被害者の遺体を切り刻んで作品のようにして飾っていましたが、ギーガーの絵にはそんな変態性を感じます。

「コヴェナント」では、マイケル・ファスベンダー演じるアンドロイドの、まるでアトリエのような実験室が描かれていますが、これがギーガーの画集の1ページをそのまま再現したかのような悪夢世界になっています。

さすがリドリー・スコット監督です。

アニメで言うと「Fate / Zero」のジル・ド・レエの工房実写版ってところですね。

「愛していた」と言い切ってしまう前作「プロメテウス」のエリザベス博士をギーガー化するなんて・・・。

イカスぜ未来のペッパーくん、もといアンドロイド!

「不気味の谷」という言葉がありますが、AI・心・魂という見えない本質(人間性)にもこの「不気味の谷」が存在するんじゃないか。

そんな風に感じて、ゾッとしましたね。

これはBlu-ray購入確定ですぜ。

  2017年

監督 リドリー・スコット

122分

出演:

マイケル・ファスベンダー

キャサリン・ウォーターストーン

ビリー・クラダップ

ダニー・マクブライド

オススメ度:4.0/5.0

期待以上でした
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